20080310

KAKInoIE:リビング/キッチン


KAKInoIE
Originally uploaded by hifumiyo.

【 設計者より 】

施主さんの要望の一つは中庭でした。カキノイエは、南に向かってコの字型に開いています。と言え、南側隣地は擁壁の上に2軒のお宅があり、季節によっては明るい中庭のイメージが損なわれそうな雰囲気がありました。
三角形になった特徴的な外観は、南に向かって建物の高さを下げる事でより採光を得ようとした方策でもあります。隣地からはどうしても見下げられる位置になってしまうので、若干プライバシーが損なわれてしまいますが、黒い外観に関わらず、完成した冬の日差しでも気持ちよい採光を確保できたのでは無いかと思います。

そして料理好きな施主さんが、大勢のご友人を招いてくつろぎながら楽しく食事の出来る、なによりお酒の美味しく飲めそうなリビングを。大きな吹き抜けにもなったリビングが威圧的に迫るよりも、どこか包み込まれるような感覚を得られないかと計画を練りながら考えていました。
天井は南の低い位置なら少し手を伸ばせば届きます。リビング中央に鎮座するローテーブルに座っても、南に目を移せば天井が見えている訳です。そして、そこから上に広がっていく天井が意識できます。壁と天井の斜めに走る境界線が自分の位置を確かめる無意識の目安になり、ひとつの安心感に繋がらないか?と考えて見たのですが、その効果の程はいかに?
そんな設計者の思惑は別に、気に入ってもらえれば何よりな訳ですが。。。

キッチンは施主さんのこだわり。キッチンカウンターは奥行き80センチと広めです。その巾のままダイニングのテーブルに繋がるので、実際よりも広く感じます。
低めの天井の厨房からこだわりシェフが、客の様子をうかがいながら次の料理を盛りつける。それまで脇役だったシェフが皿を両手にしながらリビングに出た瞬間、舞台袖から躍り出た主役に成り代わり、お客さんをもてなしているかもしれません。
打合せの際に度々食事を出して頂きました。料理をテーブルに運んでくる瞬間、客が料理を口に運んだ瞬間。併せて弾んで行く会話。そうした時間の流れを楽しまれる施主さんの様子を思い浮かべながら、設計を進めていました。


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